Ocean of Books

読んだ本をまとめます

「読む」って、どんなこと?

2020年06月25日 高橋 源一郎 『「読む」って、どんなこと? 』学びのきほん NHK出版

きっかけ

読むことに再入門するつもりで選んだ数冊のうちの第一冊目です。

厚くはないという理由で、とりあえずの橋頭堡にするつもりで選んだのですが、しっかりと書かれた本だったので、引きこまれてしまいました。作者の方は作家さんなのですね。

概要

わたしたちは義務教育で「読むこと」を教わってきました。ところが、その読み方では読めないものがある、と作者の高橋さんはおっしゃっています。三島由紀夫賞谷崎潤一郎賞を受賞した作家さんによる、よりよく読むための授業です。効率よく情報を拾いあげる方法を教えてくれる本ではありません。入力された情報とどう向きあうのか、を教えてくれる本です。

簡単な文章から始まり、絶対に学校では教えない文章や、学校で教えてくれるはずの文章を経由して、最後に書かれた文章へと、6+1時間の授業が終わるころには、読むことがきっと一段階昇華しています。

私見

いかに効率よく情報を吸いあげるか、だとか、内容を記憶に止めるにはどうするか、だとか、そういったことではなく、義務教育で教わった読み方について再認識したうえで、その方法では読めないものにどう向き合うか、読んだものについてどう考えるか、ということを教えてくれるというページ数とは裏腹に濃い内容でした。

読んで、考えて、足場を築く。その足場から読んで、考えて、足場を築く。きちんと読めればきっと高いところに行けるはずです。